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九十九屋さんたの妖怪古今録

返魂香

焚くとその煙の中に死んだ者の姿が現れるという伝説上の香。

 北方に佳人有り、世に絶えて際だち、一たび顧りみれば城を危うくし、再び見れば国を危うくす。
 中国の武帝に愛された李夫人の事です。実際、李夫人は、容姿優れ、賢い人でしたが、妲己のように国を傾ける事はありませんでした。
 李夫人は美しく歌舞にも長じ、武帝との間に子供をもうけました。寵愛を受けながら、李夫人は増長することはありませんでした。その為武帝はますます彼女を好みました。しかし、李夫人は病に倒れ、そのまま亡くなってしまいます。
 武帝は李夫人が亡くなった後、壁に彼女の絵を飾らせ、偲びましたが、どんなに素晴らしくても絵です。
 そんな時、一人の術士が死者を呼べると聞きます。術士は武帝の言葉を聞き入れ、深夜玉の釜で作り上げた精錬した返魂香、金の香炉で炊き始めます。
 香りに呼ばれ、煙の中、確かに見えるのは李夫人の姿です。その姿にたまらず声をかけます。しかし、その瞬間、李夫人の姿はかき消えたのです。
 返魂香は武帝の悲しみを深くしただけでした。


 この煙の中、姿を現す李夫人の姿。その絵は多く描かれており、その足下を煙で隠しているのが、描写として定着しています。煙の中に現れる李夫人は幽霊といえます。足のない幽霊のモチーフになったといえます。ちなみに返魂香は、病を持つものなら直ぐに癒え、死者も三日目までなら蘇り、死者もその煙の中に姿を見せるとされる霊香と言われます。
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