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編集部のつぶやき(千葉・船橋・市川・習志野)

対談 空き家・空き店舗の再生に向けて千葉市で活躍の3名に話を聞く

空き家の再生や空き店舗の活用についての画期的な利用法がニュースに彩りを添える一方で、活用がされていない物件が多数存在するという課題があります。こうした遊休不動産を地域の資源として再構築し、新たな価値を創造するためには何が必要なのでしょうか。
一般社団法人地域力研究所の主催で、佐藤紘孝(さとうひろたか)さん、岡直樹(おかなおき)さん、神谷俊一(かみやしゅんいち)さんの対談がBOOK PARKちばぎんざ(千葉市中央区)で行われました。まいぷれとしても注目している話題なので、対談の様子をお届けします!

左から、岡直樹さん、神谷俊一さん、佐藤紘孝さん

岡直樹さん 地域力研究所代表。国土交通省の平成30年度空き家対策モデル事業を契機に、空き家を私設図書館に再生する事業を開始。大宮台ひだまりと本の家やBOOK PARKちばぎんざ(旧ちばぎんざ図書館)を運営。
 
神谷俊一さん 旧自治省入省、在ヨルダン日本国大使館、佐賀県庁、佐賀市副市長、千葉市副市長などを歴任。2021年の千葉市長選に立候補表明中。空き家・空き店舗の活用に、積極的に取り組んできた。公式HP


佐藤紘孝さん 建築家。空き店舗を利用した「おやこカフェ幕張えほん図書館」の仕掛け人。空き店舗の軒先を借りた「軒先珈琲(R)」を展開。NPO法人情報ステーション理事。

課題とされる空き家・空き店舗の活用法について考える

空き店舗を活用した「おやこカフェ幕張えほん図書館」

 

岡直樹さん(以下、岡さん) 今日は、空き家や空き店舗の再生という課題について、ざっくばらんに話をしようと思います。まず、佐藤さんが実際に行った、空き店舗を活用したコミュニティスペースについてお話しください。


佐藤紘孝さん(以下、佐藤さん) 僕は2013年に、幕張の武石の空き店舗を利用して「おやこカフェ幕張えほん図書館」(現在は閉館)を開きました。えほん図書館であり、おやこカフェであり、建築設計事務所です。開設に当たり、船橋で民間図書館を展開する情報ステーションの存在を知り、絵本だけの図書館を作りたいと相談をしました。


岡さん そもそもなぜおやこカフェだったのですか?


佐藤さん 当時子どもが5歳くらいで、子どもと一緒にいられる仕事場を作りたいと思ったのがきっかけです。それで絵本を置いたり、木を置いたりしました。でも実際に始めてみると、自分の子どもが来たら仕事にならなかったですね(笑)。


岡さん 入口を入ったところに、ドーンと、木登りのできる木がありますよね。スペースはそんなに広くないですけど、シンボリックでしたね。


佐藤さん 全体的に木のぬくもりが感じられるようにして、ワークショップなんかも開催しました。当時、母親向けのイベントはいろいろありましたが、父親向けを打ち出すものが少なかったので、「パパと作ろう」というコンセプトでイベントを行いました。子どもを連れていける場所を作りたいという想いから、さまざまなサポートもしてきました。その時に感じたことは、みんな徒歩で来るので、中学校区に1か所くらい、集まれる場所が必要じゃないかということです。

 

眠っている空き家や空き店舗を活かして街の劣化を防ぐ

 

岡さん 最近、千葉市でも子どもを連れていけるところが増えたイメージがあります。そういう場所の創出に、空き家・空き店舗が活用できるといいですね。空いていてもったいないから入るわけですが、活動する中で思うのは、持っている人が困っていないから貸出の供給が増えないということです。


神谷俊一さん(以下、神谷さん) まさにいま千葉市、特にこの中央区で空テナントが増えていますが、所有者による改築やリフォームも進んでいません。所有者に一定の収入や蓄えがあるためか、投資意欲が低いケースがあります。このままでは街が劣化するおそれがあります。後継者がおられず、将来に向けた投資を予定していない所有者もいて、2階にお住まいで1階が空いているというケースも聞きます。通りに空き店舗が増えるとそのエリアの収益は減りますから、仮にその持ち主が他に移っても、次に入る人がいなくて駐車場になっていきます。それが重なると、駐車場ばかりが増えることになります。所有者が改築して、きちんと貸し出していくことは重要です。このあたりは商業施設の撤退がありましたが、代わりにマンションができて人口は増えています。新たな住民向けの、商業地域として発展できる可能性があるのではないでしょうか。

佐賀市が行った「わいわいコンテナ」で見えた未来

 

神谷さん 以前勤務した佐賀市で仕掛けた施策として、わいわいコンテナがあります。駐車場を芝生にして、絵本を置いたり、日替わりのキッチンカーを呼んだり、ちょっと寄ってみようかなという空間を作りました。芝生を敷くときには、近隣住民が親子連れで参加し、当事者意識を持ってもらえるようにしたのも特徴です。かと言って、駐車場すべてをそうすることはできないので、1か所に集約すると街の機能性があがります。所有者の方々が街のリニューアルについて、同じ方向性を持つことが大切です。


岡さん 佐賀市のわいわいコンテナは集客に成功したのですか?


神谷さん はい、多くの方にご利用いただいています。所有者の方々が同じ方向性を持つためには、間に調整役が必要です。駐車場は収入を得られているので、今はいいかもしれません。そこに停める車があるということは、近辺に何か用事があるということです。街が衰退してその用事自体がなくなったら、いつか駐車場に停める車もいなくなります。そうならないように、リニューアルすると、そうオーナーに思わせる自治体の支援策が必要だと思います。

 

人口の増減よりも、出かけなくてはいけない街を作ること

 

岡さん この一帯は商業施設が集積されていて、その集客力がありました。新しい住民が増えることはいいことがある一方で、マンションや商店街がごっちゃになっています。


神谷さん 今は顧客が変わる変化のときではないでしょうか。中心市街地は人口が増加傾向にあります。それを活かして、いままで手を入れなかった空き店舗を活用できるようにできれば、活気が出てくると思います。


岡さん 確かに中央区は人口が増えているけど、広い千葉市の中にはそうじゃない地域もあります。


神谷さん そうですね。人口が増えていない街をどうするかですね。まずは用事のある場所にしなければいけません。ご意見のある方が集まれる場所にしながら、商業の力を維持できるようにする。親子連れで出かけてもらえるように、おやこカフェを作るという取り組みもありました。出かける用事を作り、来なきゃいけない街にするということです。


佐藤さん 富士見町で質屋を相続した方から、質屋を営みながらも、何か人と関わることをやりたいという相談を受けました。提案したのがシェアキッチンです。その方は相続した建物の一部に、「まる空間」というレンタルキッチンを作りました。そうやってオーナーが変わらないと、方向性を変えるのが難しいという一面もあると思います。

きっかけづくりは自治体の支援事業が担う

 

空き店舗のシャッター前を活用する軒先珈琲(R)から広がる地域再生の輪

岡さん 千葉市は、一部のエリアで人口が増えているものの、人口が減っている地域にも新しい家が建ち、空き家が増える一方です。空いた家を住めるようにしても、住む人が減っているから限界があります。さらに、シェアハウスが流行って1軒の家に複数世帯が入るのがもどかしくもあります。だから、地域資源の再構築がテーマになると思います。


神谷さん あるものを活かすわけですね。空き家も住むという目的だけに特化していると、使われなくなりますよね。


岡さん 佐藤さんは、空き店舗や空き家を活用した軒先珈琲(R)という取り組みをなさっていますね。


佐藤さん 最初は、千葉市の「ひとづくり応援カタログ」事業に、コミュニティ・カフェづくり講座を出したのがきかっけです。20人くらい受講者がありました。そこから講座を受けたいと、市外からも集まるようになりました。その中で、シャッターを開けてもらってまでやる必要があるかという話になり、であればシャッターを締めたま、その前でコーヒーを出せばいいと思い、軒先珈琲(R)を始めました。そのタイミングで、市民シンクタンクである「千葉市まちづくり未来研究所」ができて、そこで出会ったことがきっかけでイベントに出店しました。本業ではない人が多いので、売り上げが少なくても楽しく活動を重ねてきました。そして今年、中学生向けのカフェ企業講座を千葉市と開き、20名ほど集まりました。そこで、「ひとづくり応援カタログ」から派生した「習い事応援キャンペーン」に、軒先珈琲(R)のカフェ起業をと考えました。中学生ができて大人ができないはずがありません。すでに何人か、自宅の庭先でやってみたいという方がいらっしゃいます。

 

行動変容を生み出す自治体の施策が必要


神谷さん 「ひとづくり応援カタログ」は、まさに私が携わっていた事業で、産業振興の仕事の一つでした。1000円買えば1200円もらえるというような商品券が通例ですが、商品券が使える業種は限られています。生涯学習を大切に思う中で、サービス業を支援できる商品券がないかを模索して生まれたものです。当時はさっぱり売れなくて、でも絶対にいい取り組みだから続けてほしいと思っていました。知識や経験を買うということをわかってくれて、モノの消費だけではなくて人生の糧になることを学んでみようという行動変容が生まれたので、自分ではいい事業だと思っていました。


佐藤さん カフェ起業を持ち込んで受け入れられたので、知り合いにも利用を進めました。プロが教える必要はなくて、これが得意だと思う普通の人が先生になればいいと思いました。


神谷さん きっかけがあれば、あとは自分でも学べますからね。背中を押してあげるきっかけになる支援事業だったと思います。

コミュニティの仕組みづくり、それが50年後も発展するように

 

佐藤さん 「ひとづくり応援カタログ」について言うと、僕は知っている市役所の方から話を聞いたので、何を目指しているものかというのが理解しやすかったというのはあります。


神谷さん 事業を考えるときに、自分だけでは限界があるので、聞く相手があればいい事業になっていくと思います。市役所の職員も、いかにさまざまな方と話をしているかというのが大事だと思っています。だからこそ、私は外に出ることも大切にしてきました。


岡さん この「BOOK PARKちばぎんざ」は会員制で24時間使えます。いま会員制で24時間使える施設で流行っているのは、スポーツや健康を追い風にするフィットネスです。図書館は社会教育の分野ですけど、こういう施設にはまだまだ伸びしろがあるので、普段地域の集まりに出てこない一般市民を手繰り寄せることができるのではないでしょうか。


佐藤さん 健康や予防はキーワードになり得ますね。そこで友達を作りたいという人もいますね。


岡さん 僕がこういったスペースを作るときには、限られた人たちだけの集まりにしたくないので、常にオープンなコミュニティを作るという考えを持っています。それには仕組み作りが不可欠で、民間図書館で言えば、誰でも無料で使えるというイメージ、看板としての図書館というパブリックな名称です。誰しも自分で行動を起こして地域の活動に参加することは難しいので、まさにパブリックな市役所が仕組みを作ってくれれば良いきっかけになると思います。オープンで常に新しい人が参加してくれれば、10年後や50年後も発展してくれるかなと思います。

 

神谷さん いまできればいいのではなくて、担当者が代わってもできる人材を育て、組織を変えていかないといけないですね。

 

 

市民と自治体の接点、そして縦割りだけではない職務設定を

 

岡さん ただ、僕はこのような活動をしていても、いまだに自治体との付き合い方は難しいと思っています。便利になればなるほど、行かなくて済むようになりますしね。


神谷さん 手続きは、便利になってご自宅の近くやオンラインでできるようになればいいと思いますが、相談相手としての市役所の在り方は必要だと思います。地域との関わりは自治体によって大きな違いがあります。アイデアをたくさん持っている職員もいますから、市民の方との接点を、市役所が作っていかなければいけません。組織としてどのように市民と協働できるかということです。


岡さん 地域にはいろいろな団体がありますが、メンバーが似通っていて限定的になってしまっています。図書館をやっていてよかったなと思うのは、そういう既存の団体とは今まできっかけを持てなかった様々な人が来てくれることです。そういう人たちがもう一歩、自分の街に興味を持って何か行動を起こすと、まちもずいぶんと変わるのではと思います。


佐藤さん 僕は建築の仕事をしているので、千葉市住宅政策課が出していた空き家活用の補助金というものを知っています。それだけではなくて、その補助金と市民活動をつなげる役割を、誰かがやらないといけないと思います。空き家には持ち主がいるわけですから資産です。例えば、税金関係の部署が動いて空き家対策をしたほうがいいという考えもあるかもしれません。


神谷さん 縦割りではなくて、局を横断した相談相手ですよね。よろず窓口みたいなのがあって、課の窓口をつないでくれ関係する業務の内容をはっきりと決めればできるものです。


岡さん・佐藤さん そういうのがあると我々の活動も広げやすくなりますよね。

取材を終えて

 

千葉市の中でも人口が減少傾向の地区もあり、空き家・空き店舗の利活用が必要であると改めて思いました。お話の中に出てきた千葉市中央区の「キッチン付レンタルスペース まる空間」は、日替わりで店舗が変わる人気のシェアキッチンです。お店をやってみたいという夢を叶えるきっかけ作りにもなっていますので、遊休不動産の再構築が、人々の生きがいをもサポートしうると証明しているのではないでしょうか。

キッチン付レンタルスペース まる空間

キッチン付レンタルスペース

千葉駅近くのレンタルスペース。お店やパーティ、教室もできる。

千葉市中央区富士見2-12-4

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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