今回は、前回男子高校生の実例をあげて記した「甘い物の摂りすぎで低血糖症になる」というメカニズムについて、もう少し詳しく説明したいと思います。
あわせて、体の緊張（硬結）と男子高校生の症状の関係についても説明する必要があると考えます。

砂糖は、体内に吸収されるスピードが速いため、甘い物を摂りすぎて血糖値が急激に高くなると、体はインスリンを放出して血糖値を下げようとします。インスリンを大量に分泌した結果、今度は逆に血糖値が下がりすぎてしまい低血糖となるのです。

急に下がりすぎた血糖を正常値まで引き上げるために、アドレナリンというホルモンが分泌されます。アドレナリンは分解されるとアドレノクロムという覚醒剤に似た有害物質となり、これが頭痛や「キレやすい脳」を引き起こすと言われています。

男子高校生の落ち着きのなさ、物おぼえが悪い（集中力がない）、イライラ、急な恐怖感におそわれる…は、この流れで説明できそうです。

が、それだけではありませんでした。この男子高校生は、首や後頭部と首の境い目の脳幹周辺が硬結していて、脳への血流を妨げていたのです。
その結果、脳の一番下にある脳幹の機能（主として自律神経）がうまく発揮されず、その脳幹を覆うように位置する大脳の興奮が鎮（しず）まらない、と考えられるのです。

それだけではありません。肩や背中の上部も凝り固まっていました。背中の上部が固まっていると、呼吸が浅くなってしずらくなります。
浅い呼吸は必然的に速くなり、活動・緊張の方の交感神経が主となると考えられ、休息・リラックスの方の副交感神経の活動が抑えられた状態になっていると考えられます。
本来人間のからだは、夕方から夜にかけては副交感神経が主となるように出来ているのですが。

この男子高校生は、食生活の面と、体の緊張をほぐす面と、両面から取り組む必要性を感じさせました。

（つづく）

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